プーシキン

　アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキンは、ロシアの詩人・作家です。ロシア近代文学の嚆矢とされる存在です。
　プーシキンはモスクワで生まれました。父親はロシアの貴族ですが、母親はその祖父が黒人奴隷あがりのエリート軍人でした。1820年、最初の長編詩『ルスラーンとリュドミーラ』を発表します。後に、時の政府と衝突したプーシキンは、北ロシアに流されますが、そこで『ボリス・ゴドゥノフ』を書いています。
　結婚の前年の1830年には、ボルジノにてロシア初の短篇小説集『ベールキン物語』、叙事詩『コロムナの家』、『ヌーリン伯爵』、韻文小説『エヴゲーニイ・オネーギン』を完成しました。
　1831年、ナターリア・ゴンチャロワと結婚しますが、その間に長女マリアが翌年生まれます。彼女はトルストイの『アンナ・カレーニナ』のモデルとして知られています（主に容姿面から）。
　1836年、雑誌『同時代人』を創刊し、ニコライ1世の強権的な専制政治の圧政下、検閲や発禁処分など言論への弾圧に反発しました。同年11月、『大尉の娘』を発表しました。
　1837年、宮廷の陰謀に巻き込まれたプーシキンは、フランス人ダンテスとの決闘を行い、その時受けた傷が元で死去しました。
　プーシキンは、はじめて積極的に口語を取り入れ、独自の文体を作り上げました。後のロシア文学の礎を築いた作家と言っていいでしょう。