潤一郎訳源氏物語 巻八

谷崎潤一郎畢生の大業「新々訳源氏物語」

この本について

 この古典教養文庫版の新々訳「潤一郎訳源氏物語」は以下のような構成になっています。

 第一巻 桐壺・帚木・空蟬・夕顔・若紫
 第二巻 末摘花・紅葉賀・花宴・葵・賢木・花散里
 第三巻 須磨・明石・澪標・蓬生・関屋・絵合・松風
 第四巻 薄雲・槿・乙女・玉鬘・初音・胡蝶
 第五巻 螢・常夏・篝火・野分・行幸・藤袴・真木柱・梅枝・藤裏葉
 第六巻 若菜上・若菜下
 第七巻 柏木・横笛・鈴虫・夕霧・御法・幻・雲隠
 第八巻 匂宮・紅梅・竹河・橋姫・椎本・総角
 第九巻 早蕨・宿生・東屋
 第十巻 浮舟・蜻蛉・手習・夢の浮橋

 この本は、その第八巻に当たります。匂宮・紅梅・竹河・橋姫・椎本・総角の六巻を収録しました。

 底本は中央公論社の中公文庫版(昭和四十八年九月十日初版、平成十三年二月二十五日改版三刷)の「潤一郎訳源氏物語 巻四」です。

 注は原書に頭注としてついているもの(谷崎自身による)を割り注の形でいれました。
 また、各巻の冒頭に、編集者によるその巻の梗概と主な登場人物一覧を掲載して、この長大な物語理解の一助としました。

潤一郎訳源氏物語 巻八について

「源氏物語」は、平安時代中期に成立した日本の長編物語、小説です。
「桐壺」から「夢浮橋」までの全五十四帖で構成されています。
 現在では、大きく分けて次のように三部構成と見る見方が一般的です。

 第一部 桐壺——藤裏葉
 第二部 若菜上——幻
 第三部 匂宮以下三巻と宇治十帖

 作者は藤原為時の娘である紫式部と言われています。その娘に大弐三位がいます(与謝野晶子は、彼女が「若菜」以降の作者ではないかという説を述べています)。
 四百字詰め原稿用紙にすると約二千四百枚に及ぶ長さが有り、およそ五百名近くの人物が登場します。時代も七十年余りにわたっています。また八百首弱の和歌を含んだ歌物語としてみることもできます。
 物語としての筋立てが何よりおもしろいこと、心理描写が巧みであること、またその文章が流麗で美意識が鋭いことなどから、しばしば「古典の中の古典」、日本文学史上最高の傑作とされ、その後の日本人の美意識を決定づけたと言う人もいます。
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改版履歴

2018-01-05

第2版読者の方のご指摘により、幾つかの誤植を訂正させていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

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