文豪の傑作の秘密を解き明かすほぼ50年にわたる863通の書簡を網羅!
この本について
この古典教養文庫版の「ドストエフスキー全書簡集1: 服役まで」には、次のような特長があります。
- 現在では使われない言い回しや言葉は、現在普通に使われる言葉に置き換えました。現代人には意味の取りにくい文は、平易な文に書きなおしました。しかし、その場合でも原訳の高い格調はできるだけ損なわないように最大限の配慮をしました。
- 原文で触れられた場所、人物、絵画などを中心に、関連する画像を、著作権フリーのものにかぎって、いくつか挿入しましたので、より興味深く読み進めることができます。
- わかりにくい言葉や、登場人物、でき事、作品などについての適切な注を、編集者が割り注の形で入れましたので、本文の理解が深まります。
ドストエフスキー全書簡集1: 服役までについて
……今日、十二月二十二日、僕らはセミョーノフスキー連隊の練兵場へ引かれて行きました。そこで僕ら一同は死刑の宣告を読み上げられ、十字架にキスさせられ、頭の上で剣が折られ、僕らは死装束(白いシャツ)を着せられました。それから、三人のものが刑の執行のため、柱のそばへ立たされました。三人ずつ呼びだされるのですから、したがって僕は二度目の番にあたっており、余命一分以上もなかったわけです。兄さん、僕はあなたを初め、あなたの家族全部を思い起こしました。が、最後の瞬間はあなただけ、ただあなた一人だけが僕の心に残りました。その時はじめて、なつかしい兄さん、僕がどんなにあなたを愛しているかを思い知りました! それからなお、そばにいたプレシチェーエフとドゥロフを抱きしめて、告別する暇がありました。とどのつまり、退却命令の太鼓が鳴ったと思うと、柱に縛りつけられた連中がつれ戻されて、皇帝陛下がわれわれに生命を与えてくださる旨が読み上げられました。それから、本当の宣告がくだったわけです。……
(1849年12月22日の兄ミハイル宛書簡より抜粋)
(1849年12月22日の兄ミハイル宛書簡より抜粋)

改版履歴
2018-03-11
| 第2版 | 見出しを変更し、目的の書簡を探しやすくしました。いくつかの誤植を訂正しました。 |