トニオ・クレーゲルトーマス・マン翻訳: 実吉 捷郎編集: 上妻 純一郎 三島由紀夫や北杜夫、辻邦生にも大きな影響を与えたトーマス・マンの傑作この本について この「トニオ・クレーゲル」は、長編小説『ブッデンブローク家の人々』を完成した直後、自分が文学者としてどうあるべきか真摯に思い悩んでいたトーマス・マン自身の告白的な作品です。 名訳の誉れ高い実吉 捷郎(さねよし はやお)さんの訳でお届けします。 今回、トーマス・マン作、実吉捷郎(さねよし はやお)訳の「トニオ・クレーゲル」をKindleで再販するにあたり、旧漢字を新漢字に改めました。また、読みやすさを重視するため、原文の格調を壊さない程度に、現代語風に表現を改めた部分があります。読点の位置などは、自然に読めるように工夫しました。 またカタカナ表記は、地名人名などを含めて現代風に改めました。 標題は、現在一般的に使われている「トニオ・クレーゲル」を採用しました。 名訳の誉れ高い実吉捷郎さんの「トニオ・クレーゲル」が、現代の人々の心によみがえることを期待します。 * * * 金髪のインゲ。インゲボルグ・ホルム。高く尖って入り組んで、ゴシック風の噴水が立っている、あの市場の傍に住むホルム博士の娘。トニオ・クレーゲルが十六歳になったとき恋したのは、この娘だった…… 僕は二つの世界の間に介在して、そのいずれにも安住していません。だからその結果として、多少生活が厄介です。あなたがた芸術家たちは僕を俗人呼ばわりしますし、一方俗人たちは僕を逮捕しそうになる……どっちのほうが僕をより烈しく傷つけるか、僕には分かりません。…… トニオ・クレーゲル ¥200 (2025/06/09 15:43時点 | Amazon調べ) Amazon \楽天ポイント5倍セール!/ 楽天市場 ポチップ 改版履歴2014-08-28第2版いくつかの誤植を訂正しました。