ドストエフスキー全書簡集10 : 死去まで

栄光、そして永遠へ

この本について

 この「ドストエフスキー全書簡集」は全体を十巻に分けてあります。以下のように分かれています。
 年毎に詳しい年譜をつけましたので、書簡集の内容を理解する手助けとなります。

一、ドストエフスキー全書簡集1
 一八三二年(一一歳)から一八五四年(三三歳)まで
二、ドストエフスキー全書簡集2
 一八五五年(三四歳)から一八五八年(三七歳)まで
三、ドストエフスキー全書簡集3
 一八五九年(三八歳)から一八六四年(四三歳)まで
四、ドストエフスキー全書簡集4
 一八六五年(四四歳)から一八六七年(四六歳)まで
五、ドストエフスキー全書簡集5
 一八六八年(四七歳)から一八六九年(四八歳)まで
六、ドストエフスキー全書簡集6
 一八七〇年(四九歳)から一八七二年(五一)まで
七、ドストエフスキー全書簡集7
 一八七三年(五二歳)から一八七五年(五四)まで
八、ドストエフスキー全書簡集8
 一八七六年(五五歳)から一八七七年(五六)まで
九、ドストエフスキー全書簡集9
 一八七八年(五七歳)から一八七九年(五八)まで
十、ドストエフスキー全書簡集10
 一八八〇年(五九歳)から一八八一年(死去)まで

 この本は、その10にあたります。

 この古典教養文庫版の「ドストエフスキー全書簡集10 : 死去まで」には、次のような特長があります。

  1. 現在では使われない言い回しや言葉は、現在普通に使われる言葉に置き換えました。現代人には意味の取りにくい文は、平易な文に書きなおしました。しかし、その場合でも原訳の高い格調はできるだけ損なわないように最大限の配慮をしました。

  2. 原文で触れられた場所、人物、絵画などを中心に、関連する画像を、著作権フリーのものにかぎって、いくつか挿入しましたので、より興味深く読み進めることができます。

  3. わかりにくい言葉や、登場人物、でき事、作品などについての適切な注を、編集者が割り注の形で入れましたので、本文の理解が深まります。

ドストエフスキー全書簡集10 : 死去までについて

M・A・ポリヴァーノヴァへ(一八八〇年八月十六日)
 あなたはお手紙の中で、とても解決困難な問題を提出なさいました。しかも、それは悲しいことに、広く全体に通じるものです。そういう問題で悩まないものが、はたして現代に存在するでしょうか。もちろん、人間は永久に分裂して、そのためにもちろん、苦しむというのは、ありうることです。もしその解決、すべてを和解するよき解決の望みがなかったら、なるべく何ものをも破棄することなく、何か新しい別の仕事に解決を見いだすべきです。それは精神に糧を与えて、その渇きをいやす力をもったものでなければなりません。それが一番いいと思います。のみならず、あなたの質問はあまりに一般的であり、かつ一般的に提出されています。部分について、ディテールについて、いろいろ知らなければなりません。実は、早い話が、私自身ほかのだれよりも、そういう問題を解決する能力がなく、かつその権利を持たないものです。それはほかでもありません、私の作家という地位が、そういう問題に関しては、特殊なものだからです。私は常に既存の作家活動というものを持っていて、夢中になってそれに没頭し、すべての努力も、喜びも、希望もそれに捧げつくし、その活動によっていっさいのものに解決を与えています。……
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底本

 ドストエフスキイ全集 17
   訳者 米川正夫
   河出書房新社
   昭和四十五年十一月三十日 初版発行
   昭和五十六年六月八日  第八版発行

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