ドストエフスキー

1821 - 1881

ドストエフスキーについて

 ドストエフスキーは、ロシアの小説家・思想家です。代表作は『罪と罰』、『白痴』、『悪霊』、『未成年』『カラマーゾフの兄弟』の五大長編で、その他多数の中編、短編があります。レフ・トルストイ、イワン・ツルゲーネフと並び、19世紀後半のロシアを代表する文豪です。
 ドストエフスキーは、モスクワのマリインスキー貧民救済病院の官舎で、医師の次男として生まれました。早くして母を失い、また父親も農奴に殺害されるという事件があり、このことは彼の文学に大きな影響を与えています。
 処女作「貧しき人々」出版の際の以下のエピソードはよく知られています。

 その日、ネクラーソフはこの原稿を持って、当時のロシヤ文学の命令者であった批評家べリンスキイを訪れた。彼は入るといきなり、「新しいゴーゴリが出現した!」と叫んだ。べリンスキイはそれに対して、「きみたちにいわせれば、ゴーゴリが雨後のたけのこのように出てくるんだからね」と厳しい調子でこたえたが、原稿を通読したとき、「つれて来てくれたまえ、この作者を早くつれて来てくれたまえ」といった。やがてドストエフスキーが来訪した時、彼は感動を包みかねた様子で、「きみは自分でも自分の書いた本がどんなものかわからないでしょう。そりゃ二十そこそこのきみにはわかるはずがない……しかし、きみは芸術家として真理を啓示されたのだ、真理が天賦として与えられたのだ。きみはこの天賦を大切にしてこれに忠実であったなら、やがて偉大な芸術家となるでしょう!」と言った。……

 この処女作から、後の五大長編の巨大な小説群にたどりつくその生き様そのものがまた小説なのですが、特にそれを興味深くさせているのが、彼の書簡集です。ドストエフスキーの書簡集は、面白さという点では、五大長編の以上のものがあると思われます。

 

ドストエフスキーの作品