ドストエフスキーの五大長編の第四作
この本について
この古典教養文庫版の「未成年 完全版」には、次のような特長があります。
- 現在では使われない言い回しや言葉は、現在普通に使われる言葉に置き換えました。現代人には意味の取りにくい文は、平易な文に書きなおしました。
- 原文で触れられた場所、人物、絵画などを中心に、関連する画像を、著作権フリーのものにかぎって、いくつか挿入しましたので、より興味深く読み進めることができます。
- わかりにくい言葉や、登場人物、でき事、作品などについての適切な注を、割り注の形で入れてありますので、本文の理解が深まります。これは原訳書にあったものに、編集者が適宜加えたものです。
- 原訳書に挿入されたフランス語などの外国語表記はそのまま掲載し、日本語訳をカッコの中に本文より2段階小さな文字で入れました。
- 人名・地名は、現在通常に使われている表記に変更しました。
- 特に人名については、ロシア固有の文化を尊重する観点から、できるだけ原文通りの名前・父称としました。
未成年 完全版について
フョードル・ドストエフスキーの四番目の長編小説です。『悪霊』の次、『カラマーゾフの兄弟』の前の長編です。ロシアに帰国し、ようやく生活も安定し始めた頃の作品で、これまでの作品とは幾分雰囲気の違った小説となっています。何より二十歳の青年アルカージーを主人公とした一人称による小説で、みずみずしい感性の光る作品となっています。
底本
ドストエフスキー全集 第十一巻(河出書房新社)昭和四十四年十一月二十五日初版印刷
昭和四十四年十一月三十日 初版発行